がるる。
三十六
鄙《ひな》びたる鋭き呼子そをきけば涙ながるる。
いそがしき活動寫眞《くわつどうしやしん》煤びたる布に映すと、
かりそめの場末の小屋に瓦斯の火の消え落つるとき、
鄙びたる鋭き呼子そをきけば涙ながるる。
三十七
あはれ、あはれ、
色青き幻燈を見てありしとき、
なになればたづきなく、かのごとも涙ながれし、
いざやわれ倶樂部にゆき、友をたづね、
紅《くれなゐ》のトマト切り、ウヰスキイの酒や呼ばむ、
ほこりあるわかき日のために。
三十八
瓦斯の火のひそかにも聲たつるとき、
われ、君を悲しとおもひ、
靴ぬぐひの皮に
踵なる土《つち》蹈みなすなり、
別れ來て、土蹈みなすなり、
ほの黄なるしめり香の、かの苑の香《か》を嗅げば、
いまさらに涙ながる…………
三十九
忘れたる、
忘れたるにはあらねども…………
ゆかしとも、戀ひしともなきその人の
なになればふともかなしく、
今日の日の薄暮《くれがた》のなにかさは青くかなしき、
忘れたる、
忘れたるにはあらねども…………
四十
つねのごと街《まち》をながめて
ナイフ執り、フオク執り、女らに言葉かはせど、
色赤き
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