にさはひとり求《と》めわぶるなる。
三十二
わが友は色あかき酒を飮みにき、
われはサイダア、
あはれかかる淡《あは》つけき愁《うれひ》もて
わかき日を泣かむとする、弱き子の心ぼそさよ。
三十三
あはれ、去年《こぞ》病みて失せにし
かのわかき辯護士の庭を知れりや。
そは、街《まち》の角《かど》の貸家の
褪《さめ》めはてし飾硝子《かざりがらす》の戸を覗《のぞ》け、草に雨ふり、
色紅き罌粟のひともと濡れ濡れて燃えてあるべし。
あはれまた、そのかみの夏のごとくに。
三十四
ああ、あはれ、
青にぶき救世軍の
汚《よ》ごれたる硝子戸のまへに
向日葵《ひぐるま》咲き、
濠端《ほりばた》を半纒《はんてん》ひとりペンキ壺さげて過ぎゆく。
いづこにか物賣の笛、
ああ、ひと目――日の夕、
われはいま忙《せわ》しなの電車より。
三十五
縁日《えんにち》の見世ものの、臭《くさ》き瓦斯にも面《おもて》うつし、
怪しげの幕のひまより活動寫眞《くわつどう》の色は透かせど、
かくもまた廉白粉《やすおしろひ》の、人込《ひとごみ》のなかもありけど、
さはいへど、さはいへど、わかき身のすべもなき、涙な
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