れ君、われをそのごと
清しとな正しとなおもひたまひそ。
われはただ強ひて清かり。
失せもあへぬそのかみの日の怯《おく》れたる弱きこころに、
ああかなし、われはさは強ひて清かり。
十六
哀《あはれ》知る女子のために、
われらいま黄金《こがね》なす向日葵《ひぐるま》のもとにうたふ。
哀《あはれ》知る女子のために。
十七
『口にな入れそ。』
色紅《あか》くかなしき苺葉かげより今日《けふ》も呼びつる。
『口にな入れそ。』
十八
われはおもふ、かの夕ありし音色《ねいろ》を。
いと甘き梔子《くちなし》の映《は》えあかるにほひのなかに、
埋もれつつ愁ふともなくただひとりありけるほどよ、
あはれ、さは通りすがりのちやるめらの肩をかへつつ、
ひとうれひ――ひいひゆるへうと荷擔夫《にかつぎ》の吹きもゆきしを。
あはれまた、夕日のなかに消えがてに吹きも過ぎしを。
十九
嗚呼さみし、哀れさみし、
今日《けふ》もまた都大路《みやこおほぢ》をさすらひくらし、
なにものか求めゆくとてさすらひくらし、
日をひと日ただあてもなうさすらひくらす。
嗚呼さみし、哀《あは》れさみし。
二十
大ぞ
前へ
次へ
全140ページ中65ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
北原 白秋 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング