匹の、その螢……………
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斷章 六十一
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斷章
一
今日《けふ》もかなしと思ひしか、ひとりゆふべを、
銀の小笛の音《ね》もほそく、ひとり幽かに、
すすり泣き、吹き澄ましたるわがこころ、
薄き光に。
二
ああかなし、
あはれかなし、
君は過ぎます、
薫《くゆり》いみじきメロデアのにほひのなかに、
薄れゆくクラリネツトの音のごとく、
君は過ぎます。
三
ああかなし、
あえかにもうらわかきああわが君は、
ひともとの芥子の花そが指に、香のくれなゐを
いと薄きうれひもてゆきずりに觸れて過ぎゆく。
四
あはれ、わが君おもふ※[#「ヰに濁点」、面区点番号1−7−83、43−1]オロンの靜かなるしらべのなかに、
いつもいつも力なくまぎれ入り、鳴きささやぐ驢馬のにほひよ、
あはれ、かの野邊に寢ねて、名も知らぬ花のおもてに、
あはれ、あはれ、酸《す》ゆき日のなげかひをわれひとり嗅ぎそめてより。
五
暮れてゆく雨の日の何となきものせはしさに
落したる、さは紅き實《み》の林檎、ああその林檎、
見も取らず、冷かに行き過ぎし人
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