》つてしんと默つて顫えてゐやる。
傍《そば》ぢや、ちんから目さまし時計、
ほんに、ちんから、目さまし時計、
春の小歌をうたひ出す、
佛蘭西の銀のマーチを歌ひ出す。

長崎の、長崎の
人形つくりはいぢらしや、
いぢらしや。


 くろんぼ


くろんぼのまだうらわかい母親は
くろんぼの嬰兒《みどりご》の圓《まろ》い頭《あたま》を撫でさすり、
乳をのませ、
滑《すべ》るその手もしなやかに黒い頭《あたま》を撫でさする。

長崎の異人屋敷の棕梠の花、
カステラ色の棕梠の花。
その日あたりに足投げいだし、
ものおもふくろんぼに抱かるる
くろんぼの兒よ。

くろんぼの兒は乳をのみ、
頭《あたま》をなんとなく撫でらるる快さに
靜こころなくつく呼吸《いき》の、
出で入る呼吸《いき》の、
光澤《つや》のある母の皮膚を、
なめらかなその胸を
また滑《なめ》らかに撫でかへす…………

夏の午《ひる》過ぎ、ついちろちろと鳥のこゑ、
水平線のかがやきは銀《ぎん》を流して一線《ひとすぢ》に。

母親の夢は何をおもふ。
無心に乳をのむくろんぼの
その兒の、
黒い手のひらに握られて、
しめやかに匍ひいづる
首の赤い一
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