郎が義眼《いれめ》をはめるよに、
凄《すご》や、をかしや、白粉刷毛《おしろひはけ》でさつ[#「さつ」に傍点]と洗つてにたにたと。
外《そと》ぢや五月の燕《つばくらめ》ついついひらりと飛び翔る。
長崎の、長崎の
人形つくりはおもしろや。
色硝子…………紅《あか》い血のよな日のかげで
白髪あたまの魔法爺《まはふおやぢ》が眞面目顏《まじめがほ》、じつと睨んで、手足を寄せて、
胴に針金《はりがね》、お面《めん》に鬘《かつら》、寄せて集めて兒が出來る。
兒が出來る。
酷《むご》や、可哀《かはい》や、二百の人形、
泣くにや泣かれず、裸の人形、
赤う膨《ふく》れた小股《こまた》を出して、頭みだして、踵を見せて、
鮭の卵か、兒豚の腹か、水子、蛭子《ひるこ》を見るがよに、見るがよに、
床《ゆか》に積れて、瞳をあけて、赤い夕日にくわと噎ぶ。
くわと噎《むせ》ぶ。
人形、人形、口なし人形、
みんな寒かろ、母御も無けりや、賭博《ばくち》うつよな父者《ててじや》もないか、
白痴《ばか》か、狂氣か、不具《かたは》か、唖か、墮胎藥《おろしぐすり》を喫《の》まされた
女郎の兒どもか、胎毒か………
しんと默《だま
前へ
次へ
全140ページ中60ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
北原 白秋 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング