ころの
歌をそろゆる朝あけ。
11
ひねりもちのにほひは
わが知る人も知らじな。
頑《かた》くなのひとゆゑに
何時《いつ》までひねるこころぞ。
12
微《ほの》かに消えゆくゆめあり、
酒のにほひか、わが日か、
倉の二階にのぼりて
暮春をひとりかなしむ。
13
さかづきあまたならべて
いづれをそれと嘆かむ、
※[#「口+利」、第3水準1−15−4、314−6]酒《ききざけ》するこころの、
せんなやわれも醉ひぬる。
14
その酒の、その色のにほひの
口あたりのつよさよ。
おのがつくるかなしみに
囚《と》られて泣くや、わかうど。
15
酒を釀《かも》すはわかうど、
心亂すもわかうど、
誰とも知れぬ、女の
その兒の父もわかうど。
16
ほのかに忘れがたきは
酒つくる日のをりふし、
ほのかに鳴いて消えさる
青い小鳥のこころね。
17
酒屋の倉のひさしに
薊のくさの生ひたり、
その花さけば雨ふり、
その花ちれば日のてる。
18
計量機《カンカン》に身を載せて
量《はか》るは夏のうれひか、
薊の花を手にもつ
裸男の酒の香。
19
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