ほ。
3
酒袋《さかぶくろ》を干すとて
ぺんぺん草をちらした。
散らしてもよかろ、
その實《み》となるもせんなし。
4
※[#「酉+元」、第3水準1−91−86、309−1]《もと》すり唄のこころは
わかき男の手にあり。
櫂《かい》をそろへてやんさの[#「やんさの」に傍点]、
そなた戀しと鳴らせる。
5
麥の穗づらにさす日か、
酒屋男《さかやをとこ》にさす日か、
輕ろく投げやるこころの
けふをかぎりのあひびき。
6
人の生るるもとすら
知らぬ女子《をなご》のこころに、
誰《た》が馴れ初めし、酒屋の
にほひか、麥のむせびか。
7
からしの花も實となり、
麥もそろそろ刈らるる。
かくしてはやも五月は
酒|量《はか》る手にあふるる。
8
櫨《はじ》の實採《みと》りの來る日に
百舌《もず》啼き、人もなげきぬ、
酒をつくるは朝あけ、
君へかよふは日のくれ。
9
ところも日をも知らねど、
ゆるししひとのいとしさ、
その名もかほも知らねど、
ただ知る酒のうつり香。
10
足をそろへて磨《と》ぐ米、
水にそろへて流す手、
わかいさびしいこ
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