てゐた紺と赤との燕《つばくらめ》を。


 BALL


柚子《ゆず》の果《み》が黄色く、
日があかるく、
さうして熱《あつ》い BALL.

觸《ふ》れ易いこころの痛《いた》さ、
何がなしに
握りしむる BALL.

投げるとき、
やはらかな掌《てのひら》に、
なつかしい汗が光り…………

受けるとき、
しみじみと抱く音、
接吻《せつぷん》…………

日が赤く、
柚子《ゆず》の果《み》が黄色く、
何處《どこ》かで糸操りの車。

なつかしい少年のこころに
圓い、軟《やはら》かな BALLの
やるせなさ…………

柚子《ゆず》の果《み》が黄色く、
日があかるく、
さうして投げかはす BALL.


 尿する和蘭陀人


尿《いばり》する和蘭陀人…………
あかい夕日が照り、路傍の菜園には、
キヤベツの新らしい微風、
切通のかげから白い港のホテルが見える。

十月の夕景か、ぼうつと汽笛のきこゆる。
なつかしい長崎か、香港《ホンコン》の入江か、葡萄牙《ポルトガル》?佛蘭西?
ザボンの果《み》の黄色いかがやき、
そのさきを異人がゆく、女の赤い輕帽《ボンネツト》…………

尿《いばり》する和蘭陀人
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