なつかしき足音もあり。

わが部屋に、わが部屋に
奇異《ふしぎ》なる事ありき、
かなしきはそれのみか、
その日より戸はあかず、…………
せんなしや、わが夢も、足音も、赤き版古《はんこ》も。

わが部屋に、わが部屋に
弊私的里《ヒステリー》の從姉《いとこ》きて
蒼白く泣けるあり。
誰なれば誰なればかの頭《あたま》
醫者のごと寄り添ひて眠《ぬ》るやらむ。

わが部屋に、わが部屋に、
ほこらしく、さは二人《ふたり》。


 監獄のあと


廢《すた》れたる監獄《かんごく》に
鷄頭さけり、
夕日の照ればかなしげに
頸《くび》を顫はす。

そのなかにきのふまで
白痴《はくち》の乞食《こじき》、
髪くさき女の甘き恐怖《おそれ》もて
虱《しらみ》とりつる。

ある日、血は鷄頭の
半開《はんかい》の花にちり、
毛の黄なる病犬《やまいぬ》の
ひとり光ぬ。

そののちはなにも見ず、
かの犬も殺されて
しどけなき長雨の
ふりつづく月はきぬ。

廢れたる監獄に
鷄頭咲けり、
夕日のてればかなしげに
頸《くび》を顫はす。


 午後


わが友よ、
けふもまた骨牌《トランプ》の遊びにや耽らまし、
かの轉《ま
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