てゐる。
濁つた水に
土臭《つちくさ》い鮒がふよつき、
酒倉へは巫女《みこ》が來た、
腐敗止《くされどめ》のまじなひに。
こんな日がつづいて
從姉《いとこ》は氣が狂つた、
片おもひの鷄頭、
あれ、歌ふ聲がきこえる。
恐ろしい午後、
なにかしら畑で泣いてると、
毛のついた紫蘇《しそ》までが
いらいらと眼に痛《いた》い。…………
赤い夕日、――
まるで葡萄酒のやうに。
何かの蟲がちろりんと
鳴いたと思つたら死んでゐた。
紙きり蟲
紙きり蟲よ、きりきりと、
薄い薄葉《うすえふ》をひとすぢに。
何時《いつ》も冷《つめ》たい指さきの
青い疵《きず》さへ、その身さへ、
遊びつかれて見て泣かす、
君が狂氣《きやうき》のしをらしや。
紙きり蟲よ、きりきりと
薄い薄葉《うすえふ》をひとすぢに。
わが部屋
わが部屋に、わが部屋に
長崎の繪はかかりたり、――
路のべに尿《いばり》する和蘭人《おらんだじん》の――
金紙《きんがみ》の鎧もあり、
赤き赤きアラビヤンナイトもあり。
わが部屋に、わが部屋に
はづかしき幼兒《をさなご》の
ゆめもあり、
かなしみもあり、
かつはかの小さき君
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