《すくひ》よぶとも、
ああ遂に詮《せん》業《すべ》なけむ。いざさらば
接吻《くちつけ》の妙《たへ》なる蜜《みつ》に、
女子《をみなご》の葡萄の息《いき》に、
いで『ころべ』いざ歌へ、わかうどよ。
嗅煙艸
『あはれ、あはれ、深江《ふかえ》の媼《おば》よ。
髪も頬《ほ》も煙艸色《たばこいろ》なる、
棕櫚《しゆろ》の根に蹲《うづく》む媼《おば》よ。
汝《な》が持てる象牙《ざうげ》の壺《つぼ》は
また薫《くゆ》る褐《くり》なる粉《こな》は
何ぞ。また、せちに鼻つけ
涙垂れ、あかき眼《め》擦《す》るは。』
このときに渡《わたり》の媼《おうな》
呻《によ》ぶらく。『わが葡萄牙《ほるとがる》、
こを嗅《か》ぎてわかきは思ふ。』
『さらば、汝《な》は。』『責《せ》めそ、さな、さな、
養生《やしなひ》を骸《から》はただ欲《ほ》れ。
さればこそ、この嗅煙艸《かぎたばこ》。』
鵠
わかうどなゆめ近よりそ、
かのゆくは邪宗《じやしゆう》の鵠《くぐひ》、
日のうちに七度《ななたび》八度《やたび》
潮《うしほ》あび化粧《けはひ》すといふ
伴天連《ばてれん》の秘《ひそ》の少女《をとめ》ぞ。
地に
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