臓《しんざう》の呻《うめ》くに似たり。
[#ここで字下げ終わり]
さはあれど、ここなる華《はな》と、円《まろ》き葉の
あはひにうつる色、匂《にほひ》、青みの光、
ほのほのと沼《ぬま》の水面《みのも》の毒の香も
薄《うす》らに交《まじ》り、昼はなほかすかに顫《ふる》ふ。
[#地付き]四十年十二月
幽閉
色|濁《にご》るぐらすの戸《と》もて
封《ふう》じたる、白日《まひるび》の日のさすひと間《ま》、
そのなかに蝋《らふ》のあかりのすすりなき。
いましがた、蓋《ふた》閉《とざ》したる風琴《オルガン》の忍《しの》びのうめき。
そがうへに瞳《ひとみ》盲《し》ひたる嬰児《みどりご》ぞ戯れあそぶ。
あはれ、さは赤裸《あかはだか》なる、盲《めし》ひなる、ひとり笑《ゑ》みつつ、
声たてて小さく愛《めぐ》しき生《うまれ》の臍《ほぞ》をまさぐりぬ。
物|病《や》ましさのかぎりなる室《むろ》のといきに、
をりをりは忍び入るらむ戯《おど》けたる街衢《ちまた》の囃子《はやし》、
あはれ、また、嬰児《みどりご》笑ふ。
ことこと[#「ことこと」に傍点]と、ひそかなる母のおとなひ
幾度《いくたび》とな
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