きれ》巻ける奴隷《しもべ》ども
石油《せきゆ》の鑵《くわん》を地に投《な》げて鋭《するど》に泣けど、
この旱《ひでり》何時《いつ》かは止《や》まむ。これやこれ、
饑《うゑ》に堕《お》ちたる天竺《てんぢく》の末期《まつご》の苦患《くげん》。
見るからに気候風《きこうふう》吹く空《そら》の果《はて》
銅色《あかがねいろ》のうろこ雲|湿潤《しめり》に燃《りも》えて
恒河《ガンヂス》の鰐《わに》の脊《せ》のごとはらばへど、
日は爛《ただ》れ、大地《たいち》はあはれ柚色《ゆずいろ》の
熱黄疸《ねつわうだん》の苦痛《くるしみ》に吐息《といき》も得せず。
この恐怖《おそれ》何に類《たぐ》へむ。ひとみぎり
地平《ちへい》のはてを大象《たいざう》の群《むれ》御《ぎよ》しながら
槍《やり》揮《ふる》ふ土人《どじん》が昼の水かひも
終《を》へしか、消ゆる後姿《うしろで》に代《かは》れる列《れつ》は
こは如何《いか》に殖民兵《しよくみんへい》の黒奴《ニグロ》らが
喘《あへ》ぎ曳き来る真黒《まくろ》なる火薬《くわやく》の車輌《くるま》
掲《かか》ぐるは危嶮《きけん》の旗の朱《しゆ》の光
絶えず饑《う》ゑたる心
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