る休息《やすらひ》の笛。
[#ここで字下げ終わり]
[#地付き]四十一年七月
青き光
哀《あは》れ、みな悩《なや》み入る、夏の夜《よ》のいと青き光のなかに、
ほの白き鉄《てつ》の橋、洞《ほら》円《まろ》き穹窿《ああち》の煉瓦《れんぐわ》、
かげに来て米|炊《かし》ぐ泥舟《どろぶね》の鉢《はち》の撫子《なでしこ》、
そを見ると見下《みおろ》せる人々《ひとびと》が倦《う》みし面《おもて》も。
はた絶えず、悩《なや》ましの角《つの》光り電車すぎゆく
河岸《かし》なみの白き壁あはあはと瓦斯も点《とも》れど、
うち向ふ暗き葉柳《はやなぎ》震慄《わなな》きつ、さは震慄《わなな》きつ、
後《うしろ》よりはた泣くは青白き屋《いへ》の幽霊《いうれい》。
いと青きソプラノの沈みゆく光のなかに、
饐《す》えて病むわかき日の薄暮《くれがた》のゆめ。――
幽霊の屋《いへ》よりか洩れきたる呪《のろ》はしの音《ね》の
交響体《ジムフオニ》のくるしみのややありて交《まじ》りおびゆる。
いづこにかうち囃《はや》す幻燈《げんとう》の伴奏《あはせ》の進行曲《マアチ》、
かげのごと往来《ゆきき》する白《しろ》
前へ
次へ
全122ページ中61ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
北原 白秋 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング