のとどろき。
噴水《ふきあげ》の暮るるしたたり。――
くわとぞ蒸《む》す日のおびえ、晩夏《ばんか》のさけび、
濡れ黄ばむ憂鬱症《ヒステリイ》のゆめ
青む、あな
しとしとと夢はしたたる。
[#地付き]四十一年七月
顔の印象 六篇
A 精舎
うち沈む広額《ひろびたひ》、夜《よ》のごとも凹《くぼ》める眼《まなこ》――
いや深く、いや重く、泣きしづむ霊《たまし》の精舎《しやうじや》。
それか、実《げ》に声もなき秦皮《とねりこ》の森のひまより
熟視《みつ》むるは暗《くら》き池、谷そこの水のをののき。
いづこにか薄日《うすひ》さし、きしりこきり[#「きしりこきり」に傍点]斑鳩《いかるが》なげく
寂寥《さみしら》や、空の色なほ紅《あけ》ににほひのこれど、
静かなる、はた孤独《ひとり》、山間《やまあひ》の霧にうもれて
悔《くい》と夜《よ》のなげかひを懇《ねもごろ》に通夜《つや》し見まもる。
かかる間《ま》も、底ふかく青《あを》の魚|盲《めし》ひあぎとひ、
口そそぐ夢の豹《へう》水の面《も》に血音《ちのと》たてつつ、
みな冷《ひ》やき石の世《よ》と化《な》りぞゆく、あな恐怖《おそれ
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