t、沼《ぬま》の調《しらべ》に音《ね》は瀞《とろ》む。
弾け弾け……鳴らせ……また舞踏《をど》れ……
傷《きずつ》きめぐる観覧車《くわんらんしや》、
はたや、太皷《たいこ》の悶絶《もんぜつ》に列《つら》なり走《はし》る槍尖《やりさき》よ、
※[#「窗/心」、第3水準1−89−54]の硝子《がらす》に火は叫《さけ》び、
月琴《げつきん》の雨ふりそそぐ……
弾《ひ》け弾《ひ》け……鳴らせ……また舞踏《をど》れ……
赤き神経《しんけい》……盲《めし》ひし血……
聾《ろう》せる脳の鑢《やすり》の音《ね》……
弾け弾け……鳴らせ……また舞踏《をど》れ……
  *   *   *   *
    *   *   *   *
空気《くうき》は酸《すゆ》し……いま青し……黄《き》に……なほ赤く……
はやも見よ、日の入りがたの雲の色
狂気《きやうき》の楽《がく》の音《ね》につれて波だちわたり、
悪獣の蹠《あなうら》のごと血を滴《たら》す。
そがもとに噴水《ふきゐ》のむせび
濡れ濡れて薄闇《うすやみ》に入る……
空気《くうき》は重し……なほ赤し……黄《き》に……また緑《みどり》……
いつ 
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