キるど》にわかく、はた、苦《にが》く狂ひただるる楽《がく》の色。
また、高※[#「窗/心」、第3水準1−89−54]の鬱金香《うこんかう》。かげに斃《たふ》るる白牛《しろうし》の
眉間《みけん》のいたみ、憤怒《いきどほり》。血に笑《ゑ》む人がさけびごゑ。
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さあれ、いま納曾利《なそり》のなげき……
鈍《にぶ》き思《おもひ》の灰色《はひいろ》の壁の家内《やぬち》に、
吹《ふ》き鳴らす古き舞楽《ぶがく》の笙《せう》の節《ふし》、
納曾利《なそり》のなげき……
納曾利《なそり》のなげき、ひとしなみ
おほらににほふ雅楽寮《うたれう》の古きいみじき日の愁《うれひ》、
納曾利《なそり》の舞《まひ》の
人のゆめ、鈍《にぶ》くものうき足どりの裾ゆるらかに、
おもむろの振《ふり》のみやびの舞《まひ》あそび、
納曾利《なそり》のなげき……
くりかへし、さはくりかへし、
ゆめのごと後《しりへ》に連《つ》るる笙《せう》の節《ふし》、
笛《ふえ》のねとりもすずろかに、広《ひろ》き家内《やぬち》に、
おなじことおなじ嫋《なよび》にくりかへし、
舞《ま》へる思《おもひ》の
倦《う》める思
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