ゥなしみ……
はたや、また、園《その》の外《そと》ゆく
軍楽《ぐんがく》の黒《くろ》き不安《ふあん》の壊《なだ》れ落ち、夜《よ》に入る時《とき》よ、
やるせなく騒《さや》ぎいでぬる鳥獣《とりけもの》。
また、その中《なか》に、
狂《くる》ひいづる北極熊《ほつきよくぐま》の氷なす戦慄《をののき》の声《こゑ》。
その闇《やみ》に花はちる…… Whisky《ウイスキイ》 の香《か》の頻吹《しぶき》……桐の紫《むらさき》……
[#地付き]四十一年十二月
秋の瞳
晩秋《おそあき》の濡《ぬ》れにたる鉄柵《てすり》のうへに、
黄《き》なる葉の河やなぎほつれてなげく
やはらかに葬送《はうむり》のうれひかなでて、
過ぎゆきし Trombone《トロムボオン》 いづちいにけむ。
はやも見よ、暮れはてし吊橋《つりばし》のすそ、
瓦斯《がす》点《とも》る……いぎたなき馬の吐息《といき》や、
騒《さわ》ぎやみし曲馬師《チヤリネし》の楽屋《がくや》なる幕の青みを
ほのかにも掲《かゝ》げつつ、水《み》の面《も》見る女《をんな》の瞳《ひとみ》。
[#地付き]四十一年十二月
空に真赤な
空《そ
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