のように感ぜられる。かれはその淡々《あわあわ》しい夢を懐に抱いて温めていたのである。それが習慣となったが、別に気にも留めないでいると、体のどこやらがむずむずしてくる。何ものかが次第に浸《し》み込《こ》んでくるようにも思われ、また何ものかが生れ出ようとして悩んでいるようにも思われる。抱いた夢は雛《ひな》を孵《か》えさねばならない。それがどんな雛であるか、かれはまだそれを問うてみようともしなかった。
その少女というのは他家へはやくから養女に貰われていたのである。最近にその家でどういう事情があったのか、それは知らされていなかったが、叔母がその少女を見てやることに話が決って、鶴見の家に預けられた。そんなわけで、これまでたまたまに遇《あ》っていた少女と毎日顔を合わせるようになる。禍機《かき》はそこに潜《ひそ》んでいた。盲目の性慾は時を得顔にその暗い手を伸して、かれを未知のすさんだ道に押遣《おしや》った。
急に発動した性慾の前には自もなく他もなかった。ただ情熱のうちに一つにならねばならぬという念慮のみが残されている。この強引な性慾の醜さを見せつけられて、少女はうるさく思ったにちがいない。それで
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