をつつき廻していたので、蜂の巣蜂の巣といっていたが、その岩礁は蜂の巣というよりもむしろ怪獣のような巨大な生物に見える。狂乱に近い画家の精神が一種の自爆性を帯びて激しく発散する。いかなる怒濤《どとう》にも滅《ほろぼ》されまいとする情意の熱がそこに眩《まばゆ》いばかりの耀《かがや》きを放って、この海景の気分をまとめようとあせる。それほどまでにもこの岩礁は誰の目にも異様に映ずるのである。
 全画面はかくして、左から右へ、うしろから前へ、絶間なく揺すりどよめいて、動乱の極に達している。それがメヅウサの頭にもつれ絡《から》まる蛇をおもわせる。
 これが青木繁の若い時に描いた海景である。額縁《がくぶち》の横幅約二尺八寸、縦幅一尺八寸はあろうと思われる。
 鶴見は海と共に際涯《さいがい》もない感情を抱いてその画を丹念に見返し見返ししている。波と岩との争闘の外《ほか》に火と海との相剋がそこにある。揺すり動かし砕き去ろうとする狂瀾怒濤に抗して、不滅を叫ぶ興奮から岩礁はいやが上にも情熱の火を燃やす。遠空《とおぞら》にかすむ火山の円錐《えんすい》がこの死闘を静かに見おろして煙を噴《ふ》く。
 鶴見はその画の
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