や》にある小《ちひ》さな陳列室《ちんれつしつ》に竝《なら》べてありました。昔《むかし》の人《ひと》は暗《くら》い室《しつ》の内《なか》でどうしてこんな繪《え》を描《か》いたのでせうか。おそらく燈火《とうか》を用《もち》ひたとすれば動物《どうぶつ》の脂肪《あぶら》をとぼしたことゝ思《おも》はれます。この洞穴《ほらあな》の繪《え》を發見《はつけん》したのに面白《おもしろ》い話《はなし》があります。發見者《はつけんしや》は偉《えら》い學者《がくしや》でも大人《おとな》でもなく、一人《ひとり》の小《ちひ》さい娘《むすめ》さんであつたのです。今《いま》から五十年程前《ごじゆうねんほどまへ》ん[#「ん」はママ](一八七九|年《ねん》)に、この附近《ふきん》にサウツオラといふ人《ひと》が住《す》んでゐました。その人《ひと》は古《ふる》い穴《あな》を調《しら》べることに興味《きようみ》をもち、ある日《ひ》七八歳《しちはつさい》の女《をんな》の子《こ》を伴《つ》れてこの洞穴《ほらあな》の中《なか》へはひつたのです。穴《あな》の入《い》り口《ぐち》は、今《いま》より狹《せま》くやう/\四《よつ》ん這《ば》
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