が、それはのろ/\とした丘《をか》の頂《いたゞ》きに近《ちか》く小《ちひ》さな口《くち》を開《ひら》いた穴《あな》であつて、中《なか》にはひると十數疊敷《じゆうすうじようじ》きぐらゐの大《おほ》きさの室《しつ》があつて、その奧《おく》へ進《すゝ》むと二三十間《にさんじつけん》ほどもはひつて行《ゆ》かれます。今《いま》の動物《どうぶつ》の繪《え》はその大《おほ》きい室《しつ》の天井《てんじよう》に描《か》いてあつたが、石《いし》の凹凸《おうとつ》を巧《たく》みに利用《りよう》して突出部《とつしゆつぶ》を動物《どうぶつ》の腹部《ふくぶ》とし、黒《くろ》と褐色《かつしよく》の彩色《さいしき》をもつて描《か》いてあつて、それがあり/\と殘《のこ》つてをります。一萬年前《いちまんねんぜん》より今日《こんにち》までこのようによく保存《ほぞん》されたとは思《おも》へないくらゐであります。また近年《きんねん》この洞穴《ほらあな》を發掘《はつくつ》して、昔《むかし》彩色《さいしき》に使《つか》つた繪具《えのぐ》も發見《はつけん》せられたので、それらは洞穴《ほらあな》の傍《そば》にある番人小屋《ばんにんご
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