》今日《こんにち》の生活《せいかつ》から茶碗《ちやわん》や壺《つぼ》などをなくしてしまつたならば、どれだけ不便《ふべん》なことであるかは、十分《じゆうぶん》に想像《そう/″\》が出來《でき》るのであります。
さて、かように大切《たいせつ》な土器《どき》を誰《たれ》がどこで發明《はつめい》したかといふことは容易《ようい》にわからぬのでありますが、最初《さいしよ》は粘土《ねんど》が水《みづ》に濕《しめ》されると軟《やはら》かくなり、思《おも》ふ形《かたち》に造《つく》られることが知《し》られ、また濕《しめ》つた粘土《ねんど》が火《ひ》の傍《そば》に置《お》かれると、固《かた》くなることを知《し》つたといふことなどが發見《はつけん》の緒《いとぐち》となつたかと想像《そう/″\》せられます。また籠《かご》の外側《そとがは》とか内側《うちがは》とかに粘土《ねんど》を塗《ぬ》り込《こ》めて、籠《かご》と共《とも》に火《ひ》で燒《や》くといふ製法《せいほう》もあつたようであります。
(ハ) 巨石記念物《きよせききねんぶつ》
新石器時代《しんせつきじだい》に人類《じんるい》が造《つく》つたものには、前《まへ》に述《の》べました石器《せつき》や土器《どき》などの他《ほか》に、なほ非常《ひじよう》に大《おほ》きなすばらしい物《もの》があります。それは人間《にんげん》の體《からだ》の幾倍《いくばい》もある大《おほ》きな石《いし》をもつて造《つく》られた墓《はか》とか、あるひは宗教《しゆうきよう》の目的《もくてき》に使《つか》つた場所《ばしよ》とかいふものでありまして、それに使用《しよう》された石《いし》が非常《ひじよう》に大《おほ》きいので、われ/\はそれを巨石記念物《きよせききねんぶつ》と名《な》づけてゐます。これにはいろ/\の種類《しゆるい》がありまして、その一《ひと》つに立《た》て石《いし》(めんひる)といふものがあります。(第三十一圖《だいさんじゆういちず》2)それはたいてい一本《いつぽん》の大《おほ》きな長《なが》い石《いし》が突《つ》き立《た》てゝあるもので、その石《いし》の高《たか》さは五六尺《ごろくしやく》のものもありますが、大《おほ》きいものになると五六十尺《ごろくじつしやく》もあるもの[#「あるもの」は底本では「あるのも」]があります。これはなんの
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