時代《じだい》から鐵《てつ》の時代《じだい》になつた例《れい》もたくさんありますが、ヨーロッパを始《はじ》めアジアの諸國《しよこく》においては、大體《だいたい》この三《みつ》つの時代《じだい》を通過《つうか》して、人類《じんるい》の文化《ぶんか》が進《すゝ》んで來《き》たのです。また世界中《せかいじゆう》のあらゆる國《くに》の人類《じんるい》が、みな同《おな》じ時代《じだい》に石《いし》から銅《どう》、銅《どう》から鐵《てつ》といふふうに進《すゝ》んで來《き》たのではなく、ある國《くに》では早《はや》く石《いし》から銅《どう》の時代《じだい》になり、更《さら》に鐵《てつ》の時代《じだい》になつたものもあるし、また長《なが》い間《あひだ》石《いし》の時代《じだい》に殘《のこ》されてゐたのもありますが、とにかくこの三《みつ》つの時代《じだい》の動《うご》き方《かた》は、大體《だいたい》人類文化《じんるいぶんか》の順序《じゆんじよ》を示《しめ》すものといつてもよろしい。
 かように人類《じんるい》の文化《ぶんか》の三階段《さんかいだん》があるといふことを初《はじ》めて唱《とな》へた人《ひと》は、今日《こんにち》から百年《ひやくねん》ばかり以前《いぜん》に生《い》きてゐた、デンマルクの學者《がくしや》トムゼンであります。またその弟子《でし》のワルセイが、先生《せんせい》の説《せつ》を事實《じじつ》によつてだん/\證明《しようめい》して行《い》つたのでありますが、どうしてこの北歐《ほくおう》の一小國《いちしようこく》の學者《がくしや》が、かような説《せつ》を出《だ》すに至《いた》つたかといふのに、北《きた》ヨーロッパ諸國《しよこく》には石《いし》の時代《じだい》、青銅《せいどう》の時代《じだい》が、他《た》の地方《ちほう》より長《なが》くつゞいてゐたゝめに、その頃《ころ》の遺物《いぶつ》が多《おほ》く存《そん》してゐたといふのが、その理由《りゆう》の一《ひと》つであります。その後《のち》に至《いた》つて、この三時代《さんじだい》を更《さら》に細《こま》かくわける學者《がくしや》が出《で》て來《き》ました。それはイギリスのラボックといふ人《ひと》で、石器時代《せつきじだい》をば舊石器時代《きゆうせつきじだい》と新石器時代《しんせつきじだい》の二《ふた》つにわけることになりました
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