うぜん》に岩石《がんせき》の間《あひだ》にある金《きん》だとか銅《どう》だとかのような金屬《きんぞく》を發見《はつけん》して、こんどはその金屬《きんぞく》をもつて器物《きぶつ》を造《つく》るようになりましたが、これは石《いし》や骨《ほね》の器物《きぶつ》に比《くら》べると、非常《ひじよう》につごうの良《よ》いことを知《し》り、まづはじめにはたゞの銅《どう》を使《つか》ふようになつたのであります。ところがたゞの銅《どう》では柔《やはら》かすぎ、鑄造《ちゆうぞう》もむつかしいので、銅《どう》に錫《すゞ》をまぜて青銅《せいどう》といふ金屬《きんぞく》を作《つく》り、これを器物《きぶつ》の材料《ざいりよう》としてゐた時代《じだい》がありました。この時代《じだい》を青銅時代《せいどうじだい》あるひは青銅器時代《せいどうきじだい》と稱《しよう》するのであります。そののち遂《つひ》に鐵《てつ》が廣《ひろ》く器物《きぶつ》に使用《しよう》される時代《じだい》となつたのでありますが、その時代《じだい》を鐵《てつ》の時代《じだい》、あるひは鐵器時代《てつきじだい》といふのです。今日《こんにち》においては鐵以外《てついがい》にあるみにゅーむ[#「あるみにゅーむ」に傍点]その他《ほか》いろ/\の金屬《きんぞく》が發見《はつけん》されてまゐりましたが、やはり鐵《てつ》が切《き》れものや、何《なに》かに一番《いちばん》多《おほ》く使《つか》はれてゐるので、廣《ひろ》い意味《いみ》においては、今日《こんにち》も鐵器時代《てつきじだい》に屬《ぞく》するといふほかはありません。
[#「第二十圖 トムゼン氏」のキャプション付きの図(fig18371_21.png)入る]
 かように人類《じんるい》が石《いし》から銅《どう》、あるひは青銅《せいどう》をへて、次《つ》ぎに鐵《てつ》をもつて刃物《はもの》をつくる時代《じだい》となりました。この三《みつ》つの時代《じだい》を考古學者《こうこがくしや》は、文化《ぶんか》の三時代《さんじだい》、あるひは文化《ぶんか》の三《みつ》つの階段《かいだん》と名《な》づけるのであります。しかしこの三《みつ》つの階段《かいだん》は、あらゆる人類《じんるい》が必《かなら》ずこの順序《じゆんじよ》でもつて通過《つうか》するものではありません。ある場合《ばあひ》には、石《いし》の
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