はじ》めて出現《しゆつげん》してから歴史《れきし》の始《はじ》まるまでと、歴史以後《れきしいご》今日《こんにち》までとの長《なが》さの比例《ひれい》は、歴史以前《れきしいぜん》の方《ほう》が歴史以後《れきしいご》の數十倍《すうじゆうばい》からあるといふことでわかるでせう。

      (ハ) 文化《ぶんか》の三時代《さんじだい》

[#「第十八圖 ネアンデルタール人想像圖」のキャプション付きの図(fig18371_19.png)入る]
 さて人類《じんるい》が始《はじ》めてこの世界《せかい》に現《あらは》れてから非常《ひじよう》に長《なが》い間《あひだ》、歴史時代《れきしじだい》にはひるごく近《ちか》い時代《じだい》までも、人間《にんげん》は今日《こんにち》われ/\のように銅《どう》や鐵《てつ》の金屬《きんぞく》を使用《しよう》して種々《しゆ/″\》の器物《きぶつ》を作《つく》ることをまったく知《し》らなかつたのであります。それで最初《さいしよ》は今日《こんにち》の猿《さる》などと同《おな》じく、たゞそのあたりにある木片《きぎれ》だとか石塊《いしころ》だとかをもつて、穴《あな》を掘《ほ》つて蟲《むし》をとつたり、あるひは木《き》の實《み》をわつて食《く》ふといふような生活《せいかつ》をしてゐたのでありませう。ところがだん/\進歩《しんぽ》するに從《したが》つて石塊《いしころ》に多少《たしよう》の細工《さいく》を加《くは》へ、手《て》に握《にぎ》つて物《もの》を打《う》ち壞《こわ》すに便利《べんり》な形《かたち》にこしらへるようになりました。更《さら》にまたその石《いし》を磨《みが》いて美《うつく》しい形《かたち》の器物《きぶつ》を造《つく》るようになり、あるひは自分《じぶん》の食《く》つた動物《どうぶつ》の骨《ほね》に細工《さいく》を加《くは》へて、それを道具《どうぐ》にしたりしたのでありますが、とにかく主《しゆ》として石《いし》で造《つく》つた器物《きぶつ》を使用《しよう》した時代《じだい》が長《なが》らくつゞいたのです。それをわれ/\は石《いし》の時代《じだい》、あるひは石器時代《せつきじだい》と呼《よ》んでをります。
[#「第十九圖 クロマニヨン人想像圖」のキャプション付きの図(fig18371_20.png)入る]
 ところが人類《じんるい》はまた偶然《ぐ
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