ンスのドルドンヌ州《しゆう》その他《た》から發見《はつけん》された骨《ほね》によつて代表《だいひよう》されるものであつて、その中《うち》で主《おも》なるものはクロマニヨン人《じん》といはれるものです。この時代《じだい》の人間《にんげん》になると、今日《こんにち》の人間《にんげん》とまったく同《おな》じ種《しゆ》に屬《ぞく》するものであり、またある點《てん》では今《いま》の野蠻人《やばんじん》などよりは餘程《よほど》進《すゝ》んだ頭腦《ずのう》の持《も》ち主《ぬし》であつたことは、その頭《あたま》の骨《ほね》を見《み》てもわかります。ですからクロマニヨン人《じん》は、われ/\と同樣《どうよう》、現代人《げんだいじん》といふ名《な》をつけなければなりません。しかしその現代人《げんだいじん》に屬《ぞく》するクロマニヨン人《じん》が棲《す》んでゐた時代《じだい》はいつ頃《ごろ》だらうと申《まを》しますと、ずいぶん古《ふる》い時代《じだい》であつて明瞭《めいりよう》にはわかりかねるのでありますが、まづ今日《こんにち》から七八千年《しちはつせんねん》乃至《ないし》一萬年《いちまんねん》に近《ちか》い以前《いぜん》であらうといふことです。從《したが》つてそれ以前《いぜん》の原始人《げんしじん》だとか、ハイデルベルグ人《じん》だとかに至《いた》つては何萬年前《なんまんねんまへ》であるか、にはかに見當《けんとう》がつかないくらゐです。まして人《ひと》と猿《さる》の中間《ちゆうかん》とも見《み》られる猿人《えんじん》などは五十萬年《ごじゆうまんねん》、あるひはそれ以上《いじよう》の古《ふる》い昔《むかし》のものとしなければならぬのでありまして、かように考《かんが》へて來《く》ると人間《にんげん》の始《はじ》めはなんとずいぶん古《ふる》いものではありませんか。また人間《にんげん》の現《あらは》れる以前《いぜん》の下等動物《かとうどうぶつ》ばかり棲《す》んでゐた世界《せかい》はどれだけ古《ふる》いことでせう。數千萬年《すうせんまんねん》をもつてかぞへても數《かぞ》へ切《き》れない昔《むかし》とは、實《じつ》に驚《おどろ》くべきことであります。われ/\が歴史《れきし》をもつてから今日《こんにち》まで、わづかに數千年《すうせんねん》といふ短時日《たんじじつ》でありますが、人間《にんげん》の始《
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