なつてポムペイにゐるような思《おも》ひがいたします。これはアメリカばかりでなく、ヨーロッパの博物館《はくぶつかん》にもありますが、古《ふる》い彫刻《ちようこく》などは皆《みな》臺《だい》の上《うへ》に乘《の》せてあつて、ぼたん[#「ぼたん」に傍点]を押《お》せばそれが自由《じゆう》に廻轉《かいてん》するようになつてをりますので、見物人《けんぶつにん》は一《ひと》つ所《ところ》に立《た》つてゐながら、前後左右《ぜんごさゆう》からその品物《しなもの》を見《み》ることの出來《でき》るのは實《じつ》に便利《べんり》な仕掛《しか》けではありませんか。またボストンには、メトロポリタンにも劣《おと》らない程《ほど》の美術館《びじゆつかん》があります。その日本部《につぽんぶ》には日本《につぽん》においてさへ見《み》られないような古《ふる》い美術品《びじゆつひん》もあり、日本《につぽん》の建築《けんちく》や床《とこ》の間《ま》のようなものを作《つく》つて、陳列《ちんれつ》してあるのには感心《かんしん》されます。これらの品《しな》は日本人《につぽんじん》が美術《びじゆつ》の價値《かち》を知《し》らない時代《じだい》に海外《かいがい》へ賣《う》つてしまつたものであつて、今《いま》では日本《につぽん》に買《か》ひ戻《もど》すことも出來《でき》ないのです。またワシントンのフリヤー・ガレリーといふ美術館《びじゆつかん》は、支那《しな》の古畫《こが》をもつて特色《とくしよく》としてゐます。それからフィラデルフィアの大學附屬博物館《だいがくふぞくはくぶつかん》にも、また支那《しな》の古《ふる》い時代《じだい》の彫刻《ちようこく》などにすばらしい立派《りつぱ》なのがあります。かようにアメリカの博物館《はくぶつかん》はなか/\侮《あなど》り難《がた》い勢《いきほ》ひをもつてゐるばかりでなく、近年《きんねん》は支那《しな》などから出《で》る古美術品《こびじゆつひん》は金錢《きんせん》を厭《いと》はず購入《こうにゆう》するといふ状態《じようたい》ですから、ヨーロッパ諸國《しよこく》はこの點《てん》ではとても勝《か》てないことになりました。
博物學《はくぶつがく》方面《ほうめん》の博物館《はくぶつかん》も立派《りつぱ》なのが各地《かくち》に設《まう》けてありますが、ことにワシントン、シカゴ、ニューヨークな
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