たいから死ぬの。何故って? 理窟づけられないわ。生理的よ。衝動的よ。泣く、笑う、死ぬ、みんな同じだわ。他愛のない所作でしょうよ」
ピアノの音と自分のはき出す言葉とが、堪えられなくなると私はパタンと蓋をしめ、いそいで帰る支度をはじめた。
「おばさん、さよなら。きみちゃん、さよなら」
きみちゃんとは私の級友。彼女は始めから終りまで黙っていた。
オーヴァーの襟をたてて電車にのり、五分して電車を降り、薬屋へよった。「劇」とかいてある赤印の薬を四十錠買って家へ戻った。
私はほがらかに一人おくれて食事を済ませた。狭い一人の部屋にはいると机の中から便箋を取り出した。最後の芝居がしたかった。私は架空の愛人への手紙をかいた。私の死因が失恋であるように自分をしたて上げた。いろんな、ラヴ・ストーリーの中から、気のきいた言葉を抽出しそれを羅列した。架空の愛人はいろんな人になった。ひんまがった口許や、脂ぎった肩や脊や、道づれの大きな瞳の学生や、自分の知っておらない顔までが、そのイリュージョンの中にあった。
私は、さいころをふった。たった一つのさいころを、奇数が出たら、私は即座に薬をのもうと自分に云いき
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