り、そんな話独特の冗談や陰語を教えてくれたりした。私の想像する恋愛と彼等の抱いている恋愛感情とのひらきに戸惑いすることもあった。そして、わずかな失望と、それでいて彼等に対する興味とを持った。しかし、私は、会社に拘束されており今までのように事件を起すことは不可能であった。最も窮屈な生活の中で、私は窮屈さに馴れ、麻痺され、諦めのようなものを得た。感情を押し殺すことを平気で行うことに、別だん、矛盾だとも思えなくなり、行動することもだんだん打算的になった。
三月になって、私達の学年は卒業した。その時、私の卒業証書も家に託送された。その事実を知ったのは、例の国語の女教師の口からであり、母は証書を私に披露しなかった。そのことで、級友達はすっかり私とはなれてしまった。他に、家庭の事情で退学した生徒がいたが、私より後のことであったのに免状はもらえなかったということが、余計に問題になったそうである。私は、紙切一枚が、それほど貴重なものだとその頃思っていなかったから、別段ほしいとねがっていたわけではない。かえって自分から退学したことに妙な誇に似たものを抱いていたから、自分の人格を無視された大人達の策略に
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