腹立しくさえ思った。職員会議で問題になったそうである。しかし、私の父がかつて有名人であり、学校には寄附をしており、理事という席にいた関係上、校長の殆ど独断的な意見で私に証書が送られたのであった。このことは私を不愉快にした。しかし、すぐ忘れることが出来た。いそがしい毎日の仕事のおかげである。国語の教師は、私の居ない学校は張合いがないと云って辞職して故郷へかえってしまった。私は、学校や友達と全く絶縁された位置を、さみしいとも思わなかったし、後悔もしていなかった。
 物価高で、毎月のように月給は昇った。私は小さな陶器の灰皿を買ったりしてたのしんだ。女でありながら、御化粧したりしないことを小使いのおばさんが不審がった。
「ちっと、口紅でもぬんなはれ」
 私がよく働くのでとりわけ私をかばってくれる彼女はそう云った。私は、頭髪に電気をかけ、ぽおっと御化粧をはじめた。分家さんは、にたにたと私の顔をみながら笑った。彼はいつも口をななめにあけて大きな机にぼんやりすわっていた。彼は、私より以上に数学が出来なかった。てれくさそうに、ゆっくり算盤と指をつかって、昼飯のやき飯の代金を私に手渡したりした。彼は怒り
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