おいでなのですわ。それであなたに不意討《ふいう》ちを食わせて、おどろかそうというのでしょう。
それもおもしろいでしょう。でもわたしはちっともおどろきませんわ」
「おい、リーズ、そんなことを言っているうちに、だしぬけを食ってびっくりするなよ」とわたしは言った。そのとき外でがらがらと馬車の止まった音がした。
一人、一人、お客が着くと、わたしとリーズは広間へ出てむかえた。アッケン氏《し》、カトリーヌおばさん、エチエネット、それからたったいま植物採集《しょくぶつさいしゅう》の旅から帰ったばかりの有名な植物学者バンジャメン・アッケンの胴色《どういろ》に焼《や》けた顔が現《あらわ》れた。それから青年が一人、老人《ろうじん》が一人やって来た。今度の旅行はかれらにとって二重の興味《きょうみ》があった。というわけは、この人たちはわたしどもの招待《しょうたい》をすませると、ウェールズまで鉱山《こうざん》見物に出かけるはずになっていた。この青年のほうは鉱山の視察《しさつ》をとげて、国にたんとみやげ話を持って帰って、かれがいまツルイエールの鉱山でしめている重い位置《いち》にいっそうの箔《はく》をつけようというのであったし、老人《ろうじん》のほうはこのごろヴァルセの町で鉱石収集《こうせきしゅうしゅう》をやって町で重んぜられているので、今度の調査《ちょうさ》の結果《けっか》いっそう重大な発見をとげて帰ろうとするのであった。この老人《ろうじん》と青年というのは、言うまでもなく、ヴァルセ鉱山《こうざん》で働《はたら》いていた「先生」と、アルキシーとであった。
リーズとわたしが来賓《らいひん》にあいさつをしていると、またがらがらと四輪馬車《よりんばしゃ》が着いて、アーサとクリスチーナとマチアが中から出て来た。すぐそのあとに続《つづ》いて、一両の二輪馬車が着いた。気の利《き》いた顔つきの男が御者《ぎょしゃ》をして、これと背中《せなか》合わせに一人、ぼろぼろの服を着た船乗りが乗っていた。たづなをひかえて御者をしているのは、このごろ金のできたボブで、いっしょに乗って来たのは、あのときわたしをイギリスの海岸からにがしてくれたボブの兄であった。
さて洗礼式《せいれいしき》がすむと、マチアはわたしを窓際《まどぎわ》まで連《つ》れ出した。
「わたしたちはこれまで、知らないよその人のためにばかり音楽をやって
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