安朝の鞦韆まで遡ることは容易でない。鞦韆が曾て支那から輸入されたとすれば[#「ば」は底本では「は」]、それを以て一旦中絶したと考へる方が安全かも知れぬ。然るに徳川時代になつてから、鞦韆はふらこゝ[#「ふらこゝ」に傍点]若くはぶらこゝ[#「ぶらこゝ」に傍点]の名目を以て復活され、元祿の初年からは、かしくの「鞦韆のたはぶれはやせ猿廻し」なる俳句の其※[#「代/巾」、第4水準2−8−82]に見ゆるを始めとしてポツ/\俳句の題材となり、太祇の「ふらこゝの會釋こぼるや高みより」、一茶の「秋千や櫻の花をもちながら」などいふ句もある。今日のぶらんこ[#「ぶらんこ」に傍点]といふ名稱は此ぶらこゝ[#「ぶらこゝ」に傍点]からして出て居るものに相違なからうが、其遊戯の恰好からして與へられさうな名稱として、殆ど其起原に疑を挾む者もないやうであるけれど若し此ぶらんこ[#「ぶらんこ」に傍点]なる名稱がぶらこゝからして出たとなれば、其ぶらんこ[#「ぶらんこ」に傍点]には何となく名稱として洋臭を帶びたところがある。そこで予は想像をめぐらし、ぶらんこ[#「ぶらんこ」に傍点]も、ぶらこゝ[#「ぶらこゝ」に傍点]もともに
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