鞦韆考
原勝郎

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【テキスト中に現れる記号について】

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   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ース

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)まち/\
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 鞦韆は漢字で綴ればこそむつかしくなるが、遊戯としては極めて簡單で、何人でもたやすく思ひつきさうな種類のものである。されば其源流を究めるなどは嗚呼の沙汰に近いかも知れない。然るに無造作な此技が、想像さるゝよりも少數の發明者しか持たなかつたと見えて、東洋に於ても西洋に在りても、國から國へと移り行つた跡が歴然と認められる。加之、時代によりての變遷もある。因りて今偶然の機會から動かされた貧弱な骨董心の赴くに任せて、其分布の徑路を辿つて見ることにした。
 希臘とてもあらゆる文明の根原ではない。從ひて鞦韆だとて希臘人の發明だと斷言の出來ぬことは勿論である。然し古代希臘に既に鞦韆のあつたことは慥かで、其根源に就いての話も亦希臘神話の中にある。其神話には二樣の傳へがあつ
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