※[#アステリズム、1−12−94]
以上抄したものはガボリイのエッセイの最初の一部分に過ぎない。ガボリイの筆は更らに、プルウストが非常な關心を持つてゐたやうに見える夢の分析に向ひ、それから更に彼の描いたレスビアン達の方へ向けられてゆく。
しかし其處は、私がまだ充分に讀んでゐない「ソドムとゴモル」や「囚はれの女」を讀み終つてからにでもした方がいい。
※[#アステリズム、1−12−94]
サミュエル・ベケットの「プルウスト」はガボリイのエッセイ風なものと異つて、プルウストの方法を丹念に追究してゐる。(ベケットと云ふ人のことは少しも知らないが、聞けば「トランジション」などによく詩を出してゐるイギリスの若い詩人ださうである。)
ベケットは先づプルウストの謂ふところの無意的記憶[#「無意的記憶」に傍点]を説明してゐる。(それに就いては私もこの前の「雜記」の中で説明した。)さうしてベケットはその無意的記憶[#「無意的記憶」に傍点]の主要な例が「失はれた時を求めて」全卷のうちに約十一許りあることを指摘してゐる。次に擧げるのがそのリストだ。
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