續プルウスト雜記
堀辰雄
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)俗《バナル》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#アステリズム、1−12−94]
*:注釈記号
(底本では、直前の文字の右横に、ルビのように付く)
(例)戰勝標《トロフェ》*
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プルウストに關する三つの手紙を神西清に宛てて書いてから數ヶ月が過ぎた。
その間、私は心にもなく、プルウストの本を殆ど手離してゐた。
唯、ときたま、ガボリイのプルウスト論の中で見つけた「私の月日が砂のやうに私から落ちるのを感ずる悦び」と云ふクロオデルの言葉が思ひがけずに私の口をついて出てくるやうな瞬間があつた。そしてちよつとの間だけ、私はその文句そつくりの悦びに浸つてゐるのだつた。
そしてその時はまた、私に、數ヶ月前プルウストを夢中になつて讀んでゐたときの思ひ出がいつの間にか蘇つてゐる時でもあつた。
※[#アステリズム、1−12−94]
その數ヶ月の間に私は何をしてゐたか?
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