ノ手きびしく描いたものである。そのうち、日に赫いた、花のにほひのする修道院のなかで、春の息吹きに苦しめられる一人の處女を描いた[#ここから横組み]“〔Le Visage Emerveille'〕”[#ここで横組み終わり]が佳作である。その後、再び詩に戻つて、[#ここから横組み]“Les Eblouissements”[#ここで横組み終わり](1907)を公にした。彼女の生への強烈な愛は、この詩集においてもつとも見事に、もつとも人間的に展開せられてゐる。彼女が太陽と光を歌つてこれほど壯烈だつたことはない。が、又、その生の歡喜をこれほど死の考へによつて暗くせられたこともない。「ああ、わが生を享けしは死のためにはあらざるぞ。」(〔He'las! Je n'e'tais pas faite pour e^tre morte.〕)この詩集を書いた後、詩神はひさしく沈默した。約六年間、彼女は羅馬やナポリや西班牙などを旅行したり、少女時代を過ごしたレマン湖畔のアンフィオンに歸つて籠居したりしてゐた。そして遂に一九一三年になつて第四詩集[#ここから横組み]“Les Vivants et les Morts
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