く》にも味《あぢはひ》あり
早《はや》くより養《やしな》ふものゝあればこそ
     此《この》味《あぢは》ひを君《きみ》は知《し》るらめ
  七 雨《あめ》漏《も》りても眠《ねむり》を妨《さまた》げず
軒端《のきば》もる雨夜《あまよ》の夢《ゆめ》もともすれば
    浮世《うきよ》に通《かよ》ふ事《こと》もあるらむ
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      第三

北海道《ほくかいだう》に移住後《いぢゆうご》、冬時《とうじ》余《よ》の服裝《ふくさう》は、内地《ないち》に在《あ》りし時《とき》と殆《ほと》んど異《こと》ならず。而《しか》して當地《たうち》の寒氣《かんき》を左程《さほど》に感《かん》ぜざるのみならず、凍傷《とうしやう》等《とう》に一度《いちど》も犯《をか》されたる事《こと》あらず。思《おも》ふに此《かく》の如《ごと》きは、數十年來《すうじふねんらい》行《おこな》へる灌水《くわんすゐ》の功徳《くどく》なる可《べ》し。

      第四

余《よ》は現時《げんじ》人《ひと》より羨《うらや》まるゝ程《ほど》の健康《けんかう》を保《たも》ち居《を》れども、壯年《さうねん》の頃《こ
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