七福《しちふく》を詠《えい》ずるの歌《うた》を寄《よ》せらる。左《さ》に録《ろく》するもの此《これ》なり。
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  一 災害《さいがい》に遇《あ》ふとも驚《おどろ》かず
災《わざはひ》の起《おこ》れる本《もと》を知《し》る人《ひと》は
     驚《おどろ》きもせずはた悲《かなしみ》もせず
  二 患難《くわんなん》に向《むか》ふとも悲《かなし》まず
憂《う》きつらき重《かさ》ねかさねて今《いま》は世《よ》に
     かゝるものなき身《み》こそ安《やす》けれ
  三 貧《まづ》しけれども飢《う》ゑず
雲《くも》に似《に》たる富《とみ》を何《なに》せんあはれ世《よ》の
     人《ひと》もかくこそあらまほしけれ
  四 老《おい》て勞《らう》を厭《いと》はず
宜《うべ》なりやかくありてこそ人《ひと》として
     世《よ》に生《うまれ》つる甲斐《かひ》はありけれ
  五 衣《ころも》薄《うす》くも寒《さむ》からず
此《この》心《こゝろ》あらずばいかに雪《ゆき》深《ふか》き
     十勝《とかち》の荒野《あらの》住家《すみか》定《さだ》めん
  六 粗食《そしよ
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