うじ》と雖《いへど》も怠《おこた》りたる事《こと》あらず。此《この》地《ち》には未《いま》だ井戸《ゐど》なきを以《もつ》て、斗滿川《とまむがは》に入《い》りて行《おこな》へり(飮用水《いんようすゐ》も此《この》川《かは》の水《みづ》を用《もち》ゆ)。此《この》地《ち》の冬季《とうき》の寒威《かんゐ》は實《じつ》に烈《はげ》しく、河水《かすゐ》の如《ごと》きは其《その》表面《へうめん》氷結《へうけつ》して厚《あつ》さ尺餘《しやくよ》に到《いた》り、人馬《じんば》共《とも》に其《その》上《うへ》を自由《じいう》に歩《あゆ》み得《う》。冬時《とうじ》此《この》河《かは》に灌水《くわんすゐ》を行《おこな》ふには、豫《あらかじ》め身體《しんたい》を入《い》るゝに足《た》る孔穴《こうけつ》を氷《こほり》を破《やぶ》りて設《まう》け置《お》き、朝夕《あさゆふ》此《この》孔穴《こうけつ》に身《み》を沒《ぼつ》して灌水《くわんすゐ》を行《おこな》ふ。
斗滿川《とまむがは》は余《よ》が家《いへ》を去《さ》る半町餘《はんちやうよ》の處《ところ》に在《あ》り。朝夕《あさゆふ》灌水《くわんすゐ》に赴《おもむ》く
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