に、如何《いか》なる嚴寒《げんかん》大雪《おほゆき》の候《こう》と雖《いへど》も、浴衣《ゆかた》を纒《まと》ひ、草履《ざうり》を穿《うが》つのみにて、他《た》に何等《なんら》の防寒具《ばうかんぐ》を用《もち》ゐず。
冬曉《とうげう》早《はや》く蓐《じよく》を離《はな》れて斗滿川《とまむがは》に行《ゆ》き、氷穴中《へうけつちゆう》に結《むす》べる氷《こほり》を手斧《てをの》を以《もつ》て破《やぶ》り(此《この》氷《こほり》の厚《あつ》さにても數寸餘《すうすんよ》あり)身《み》を沒《ぼつ》し、曉天《げうてん》に輝《かゞや》く星光《せいくわう》を眺《なが》めながら灌水《くわんすゐ》を爲《な》す時《とき》の、清爽《せいさう》なる情趣《じやうしゆ》は、實《じつ》に言語《げんご》に盡《つく》す能《あた》はず。
第二
昨《さく》三十七|年《ねん》十二|月《ぐわつ》某夜《ばうや》の事《こと》なりき、例《れい》の如《ごと》く灌水《くわんすゐ》を了《を》へて蓐《じよく》に入《い》り眠《ねむり》に就《つ》きし間《ま》もなく、何者《なにもの》か來《きた》りて余《よ》に七福《しちふく》を與《あた
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