に残し、同五日発にて牧塲に向う。落合迄※[#「さんずい+氣」、第4水準2−79−6]車、夫れより国境の嶮《けん》は歩行し、清水にて一泊。夫れより帯広に出で、来合わせたる又一に面話し、一泊。高島農塲に一泊。利別《としべつ》一泊。足寄《あしょろ》にて渋田《しぶた》に一泊し、西村|氏《し》が傷を診《しん》す。翌日土人一名を案内として傭《やと》い、乗馬にて早発し、細川氏にて休み、後《ご》三時牧塲に着す。其実况は左《さ》に。
細川氏にて茶を饗せられて径路を通行し、「トメルベシベイ」にて十伏川《とつふせかわ》を渡る。河畔《かはん》に鉄道測量の天幕あり。一名の炊夫《すいふ》ありて、我牧塲を能く知る。
最も懇篤《こんとく》に取扱いくれたるはうれし。茲《ここ》にて弁当を喰《しょく》す。茶を饗せられたり。此迄《これまで》は人家無く、附近にも更に人家無しと。河畔に土人小屋あり。此れ鱒《ます》を捕《と》るなりと。此れより山間の屈曲せる処を通る。径路あるも、然れども予が目には知る事|能《あた》わざるなり。数回《すかい》川を渡り、峻坂《しゅんはん》を登り、オヨチに至る。此処《ここ》は最も密樹の繁茂せるの間をくぐる
前へ 次へ
全50ページ中7ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
関 寛 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング