べからず。
然るに人生の複雑なる、安危交錯して、吾人の家庭と社会とに屡《しばしば》不測の惨禍を起して其調和を失うことを免れず。思うに人生の惨禍は、彼《か》の厄難屡来りて遂に貧に陥り、居《お》るに家無く、着るに衣無く、喰《くら》うに食無く、加うるに宿痾《しゅくあ》に侵され、或は軽蔑せられ、人生に望を失うものより甚《はなはだし》きはなからん。而《しか》して其由来する所を繹《たずぬ》れば、多くは自ら招くものなれど、事|茲《ここ》に至りては自ら其非を覚《さと》ると雖《いえ》ども、其非を改むる力なく、或は自暴自棄となりて益《ますます》悪事を為すあり、或は空《むなし》く悲歎して世を恨み人を怨むものあり。其惨状実に憐憫に堪えざるものあり。是れを救済し、其生活を安全ならしむるは、誠に人生の一大善根にして、固《もと》より容易の業にあらずと雖ども、吾人は其小を積み止まず遂に其大を致さむ事を勉《つと》めざる可《べ》からず。此《かく》の如くにして初めて吾人の目的に近《ちかづ》くことを得《う》べきなり。
我家《わがいえ》は北海道|十勝国《とかちのくに》中川|郡《ごおり》本別村《ぽんべつむら》字《あざ》斗満の僻地
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