事無きも、然れども老体の負傷あらば或は大に恐れあるを感じたるを以て、今後は乗馬を止むるとせり。
此際は寛は蓬《よもぎ》蕨《わらび》を採るに野に出《いず》るも、亦他の人も蒔付に出るも、小虫は一昨年に比すれば半《なかば》を※[#「冫+咸」、223−7]じたり。昨年は大厄難たるを以て、小虫の事は深く心に置かざるも、本年は無事たるを以て、又々小虫の事を彼此と唱うるに至れり。
七月、寛は海水浴として釧路に向う。九日に帰塲す。
廿八日、又一出征の報あり。
此際に左《さ》の希望を企てたり。
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積善社《せきぜんしゃ》趣意書
維昔《むかし》天孫豊葦原を鎮め給いしより、文化|東漸《とうぜん》し、今や北海|辺隅《へんぐう》に至る迄億兆|斉《ひと》しく至仁《じじん》の皇沢《こうたく》に浴せざるものなし。我が一家亦世々其恵を受け、祖先の勤功と父母の労苦とに由り今日あるを致せり。豈《あに》幸《さいわい》ならずや。されば我等|上《かみ》は国恩を感謝し、祖先の神霊を慰し、父母に孝養を厚うし、下《しも》は子孫の教育を厳にし、永遠なる幸福の基礎を定め、勤倹平和なる家庭と社会とを立てん事を謀らざる
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