《けんぴょう》を砕き、或は雪を踏んで一日《いちじつ》二回は習慣たる冷水灌漑を実行し止まざるはうれし。又一は入営兵の留主中《るすちゅう》たるも、先ず牧塲の無事に維持あるを謝すると、尚本年は無事に経過あらん事を祈ると共に、最も衣喰を初め仮令《たとい》僅少にても節約を守り、物品金員を貯えて牧塲費に当てて、又一が無事に帰るの後には、更に幾分かの助けたらん事を日夜怠らざるなり。
寛は昨秋《さくあき》より不消化の為めに悩む事あり。其後は喰慾は復するも、然れども大に喰量を※[#「冫+咸」、220−5]ずるのみならず、昨年迄は硬き喰料黍飯等を食するに好んで用いたりしに、其後は少《すこし》く硬きもの黍飯等を用うる時は、必ず胃痛下痢等を発する事となりたり。然るに一月三ヶ日間は、祝として黍餅を雑煮として喰したりしに、三日の夜大に胃痛にて苦《くるし》めり。依て四日間は粥汁《おもゆ》のみを喰して復常するを得たり。然れども昨年よりは、一身は大に平均を失うて起居動作には頗る困難を覚ゆるのみならず、記憶力及び考慮の上に於ても、大に※[#「冫+咸」、220−11]乏を覚うるの外に、消化器の機能も衰えて、少く硬き品を喰す
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