体を忘《わすれ》て尚活溌に至らんと欲するなり、甞《かつ》て札幌に於ては又一が出兵するを以て、其不在中は全く独立自営を主とし、官馬を返納して一家計を細く立て、其及ぶ限を取らんと决したるも、ココに至《いたっ》ては官馬は斃るるも、我牧塲と共に予も死する迄として実行すべきを决したるを告げて、大に一同を責めたり。然るに片山初め一同は、予と同情を以て大奮励するとして、何《いず》れも予が説に伏して、初めて復常するに至れり。ああ此時に於て予も共に憂《うれい》に沈みて活気を失う事あらば、或は瓦解に至る事あらん乎。此れを熟考する時は、予が如き愚なるも平生潔白正直を取るの応報として、冥々裡《めいめいり》に於て予を恵みたるかを覚えたり。実に予が愚なるもかかる断乎《だんこ》たる説を立《たて》たるを感謝す。かかる数回《すかい》の厄難を重ねたるは、此れ天恵の厚き試験たるを感悟して、老朽に尚勇あらん事を怠らざるなり。
四日、斃馬一頭あり。
五日、今日《こんにち》に至り病馬全く無きに至れり。内祝として餅をつく。
今日に至り病馬無く、且つ一般の順序を得るを喜びて、
[#ここから1字下げ]
西風吹送野望清《せいふうふきおく
前へ
次へ
全50ページ中41ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
関 寛 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング