一月七日、又一札幌に向うて発す。此れ三十六年志願兵として一ヶ年間騎兵に服役する為めなり。
* *
* *
本年は樽川の畑は風損霜害にて収穫|大《おおい》に※[#「冫+咸」、184−13]じたり。依て我等夫婦殊に老妻は大に此れを憂いて、此損害の為めに収穫※[#「冫+咸」、185−1]ずるを以て、牧塲に大に関係するを以て、此れを償《つぐの》わんが為めに、我等夫婦は未《いま》だ慣れざる畑仕事を為し、屋敷内にて菜大根及び午蒡《ごぼう》人参等を植付けて喰料《しょくりょう》を助けて、一日《いちじつ》に責めては我等夫婦の喰料たる白米を五勺|宛《ずつ》にても※[#「冫+咸」、185−4]ずる時には、一ヶ月には何程か費用を※[#「冫+咸」、185−5]じて、其金員を貯えて又一が手許にて牧塲の資本たらしめん事を日夜怠らず。更に初めて寒地に来りて彼此に慣れざるが為めに、知らざる裏《うち》に空費あるをも省略せんと欲して、或は夕食には干菜《ひば》を粉《こ》として雑炊とし、或は製粉処にて粗末にて安価なるものを求めて団子として喰《しょく》する等は、実に恥
前へ
次へ
全50ページ中14ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
関 寛 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング