、彌吾吉、利太郎の四名なり。家具着類は不自由ながらも僅に用を便ずるのみ。臥して青草《せいそう》を握り、且つ星を眺むるなり。
此際は殊に小虫多く、眼口鼻に入る為めに、畑に出《いず》るには何《いず》れも覆面して時々逃げて小屋内にて休息す。便処《べんじょ》にても時々「タイマツ」の様なるものを携うる事とせり。此れは小虫は火を嫌うを以て、小虫を避くるの為めなり。
[#ここで字下げ終わり]
十二日、七時より放牧塲(ノフノヤウシ)即ち昨日見る処に至りて馬匹を観んと欲し、彌吾吉王藏同行せり。現塲《げんじょう》に至り、彌吾吉は馬匹の群を一見して馬匹中に異動あり、或は不足なりとて、尚調査するに、仔馬一頭は熊害《ゆうがい》にて臀部に裂傷あるを見たり。尚|瑞※[#「日+章」、第3水準1−85−37]《ずいしょう》北宝《ほくほう》も見えざるを以て、或は昨夜熊害の他《たの》馬匹にも及ぼす事あるかとて、王藏に命じて尚馬匹を集めて調査するに、瑞※[#「日+章」、第3水準1−85−37]北宝両|種馬《しゅば》の見えざるをもって深く案じたるも、両種馬は遥に他《た》群馬中に見えたり。且つ数十頭の遠くより揃うて急馳《きゅうち
前へ
次へ
全50ページ中11ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
関 寛 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング