みしも皆な[#「に似たり余が幼き頃より長者の教を守りて学の道をたどりしも仕への道を歩みしも皆な」に傍点]勇気ありて[#「勇気ありて」に白丸傍点]能くしたるにあらず[#「能くしたるにあらず」に傍点]云々《うんぬん》(四頁下段)
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 是れ著者が明かに太田の人物を明言したるものなり。然るに著者は後に至りて之《これ》と反対の言をなしたり。
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余は我身一つの進退につきても又た我身に係《かゝは》らぬ他人の事につきても果断[#「果断」に白丸傍点]ありと自ら心に誇りしが云々(一四頁上段)
余は守る所を失はじと思ひて己《おの》れに敵するものには抗抵[#「抗抵」に白丸傍点]すれども友に対して云々(一二頁上段)
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 此《この》果断[#「果断」に白丸傍点]と云ひ抗抵[#「抗抵」に白丸傍点]と云ひ、総《すべ》て前提の「物ふるれば縮[#「縮」に白丸傍点]みて避[#「避」に白丸傍点]けんとす我心は臆病[#「臆病」に白丸傍点]なり云々」の文字と相《あひ》撞着《どうちやく》して并行《へいかう》する能《あた》はざる者なり。是れ著者の粗忽《そこつ》に非《
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